インド洋で難民船が転覆、ロヒンギャら約250人が行方不明 国連機関が発表

海上に浮かぶ2隻の船に、多数の人影が見える。空には薄雲がかかり、海面がオレンジ色の日差しに照らされている

画像提供, AFP via Getty Images

画像説明, 多くのロヒンギャ難民が、海路でミャンマーから逃れている(2024年、インドネシア・アチェ州ラブハンハジ沖)
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インド洋のアンダマン海で先週、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの難民とバングラデシュ人を乗せた船が転覆し、子どもを含む約250人が行方不明となっている。国連の難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国際移住機関(IOM)が14日に発表した。船が転覆した正確な日時は不明。

UNHCRとIOMは共同声明で、バングラデシュを出航しマレーシアに向かっていたトロール漁船が、「強風と荒波に加え、船の過密状態が原因で沈没したと報告されている」と明らかにした。

バングラデシュの沿岸警備隊はAFP通信に対し、同隊の船が今月9日、当該船から9人を救助したと語った。

ロヒンギャは、ミャンマーの数ある少数民族の一つ。多数の犠牲者を出した2017年の弾圧以降、ロヒンギャの数十万人がバングラデシュへと逃れている。

仏教徒が大多数を占めるミャンマーでは、大半がイスラム教徒のロヒンギャに対し、政府は市民権を与えていない。

隣国バングラデシュでの劣悪な生活環境もまた、一部のロヒンギャを危険な航海に駆り立てている。イスラム教国であるマレーシアが東南アジアでの安全な避難先になり得ると考え、過密状態の船に乗ってマレーシアを目指している。

今回の転覆の生存者ラフィクル・イスラム氏(40)はAFP通信に対し、救助されるまで約36時間にわたり海を漂流していたと語った。船から流出した油でやけどを負ったという。

イスラム氏は、マレーシアで仕事が見つかったため、船に乗ることを決めたのだと話した。

UNHCRはIOMとの共同声明で、「今回の悲劇は、長期化する避難生活と、ロヒンギャにとっての恒久的解決策の欠如がもたらす深刻な影響を如実に示している」とした。

ロヒンギャの故郷であるミャンマー・ラカイン州で暴力行為が続いていることについては、「近い将来に安全に帰還できるという希望が薄れてしまった」と両機関は指摘。人道支援の縮小や難民キャンプでの厳しい生活環境によって、ロヒンギャが「安全と機会を探し求めるために、このような危険な海の旅」へと追い込まれているとした。

難民らが乗る船は、小型で過密になりやすく、飲料水や衛生状態など基本的な設備も整っていない。目的地にたどり着けるとも限らない。海で死んだり、拘束や強制送還されたりすることもある。

また、マレーシアやインドネシアに近づいた段階で、現地の当局や沿岸地域に受け入れを拒まれるケースもある。昨年1月にはマレーシアが、難民約300人を乗せた船2隻に食料と水を提供した後に受け入れを拒否した。

バングラデシュ・コックスバザールにいるロヒンギャ難民の1人は以前、ロイター通信に対し、「戦闘で死ぬ人もいれば、飢えて死ぬ人もいる。だから、ここでゆっくり死しんでいくよりは、海で死ぬ方がましだと考える人もいる」と語っていた。

UNHCRとIOMは14日の声明で、バングラデシュのロヒンギャ難民と、ロヒンギャを受け入れている地域社会への資金援助を維持するよう、国際社会に呼びかけた。

そして、「バングラデシュが新年(ベンガル歴の新年は4月14日)を迎える中で起きたこの悲劇は、ミャンマーにおける(ロヒンギャの)避難の根本原因に対処し、ロヒンギャ難民が自発的かつ安全に、尊厳をもって帰還できる環境を整えるための取り組みが急務であることを、改めて思い起こさせるものだ」と付け加えた。