韓国の警察、スタバ本社を捜索 「タンク・デー」騒動めぐり

清掃員がスターバックス店舗の窓を拭いている

画像提供, AFP via Getty Images

画像説明, 「タンクデー」キャンペーンは、韓国でスターバックスに対する不買運動を引き起こした
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ジェイク・クォン・ソウル特派員、コー・ユー記者

韓国警察は5日、スターバックスの韓国本社を家宅捜索した。物議を醸した販促キャンペーンをめぐる名誉毀損の申し立てを受けたもの。

スターバックス・コリアは5月18日、コーヒータンブラーの販促キャンペーン「タンク・デー」を開始した。しかし、英語の「タンク」には、「容器」だけでなく「戦車」との意味もあることから、多くの人がこれを、1980年5月18日の光州事件で、民主化デモの鎮圧のために当時の軍事政権が投入した装甲車などへの言及だと受け止めた。同事件では数百人が軍に殺されたとみられている。

同社はそのような言及の意図はなかったとし、すぐにこのキャンペーンを中止した。だが、複数の市民団体は、軍事独裁政権の犠牲者を中傷したとして同社を刑事告訴し、警察に捜査を求めていた。

韓国でスターバックスを経営する新世界グループは、問題が表面化した日のうちに同チェーンのトップを解任し、「不適切なマーケティング」について謝罪した。

また、このキャンペーンについて社内調査を行い、今回のミスは意図的なものではなかったと結論付けたと発表。このキャンペーンを企画したチームは光州事件と関連づけたわけではなく、上層部もそうした見方に気づかなかったと付け加えた。

スターバックス・コリアは6月24日、全スタッフが歴史研修に出席できるよう、全店舗を半日休業とした

韓国はスターバックスの最大市場の一つだが、新世界グループによると、この騒動によりスターバックス・コリアの売り上げは深刻な落ち込みを見せたという。

スタバのカップは右派の象徴に

光州事件では、デモに参加した少なくとも165人の民間人が、当時の全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事政権が投入した部隊に殺害されたと推定されている。しかし、実際の犠牲者ははるかに多いと広く考えられている。韓国国民の記憶に国家的トラウマとして刻まれ、事件発生日は多くの人々にとって神聖な日となっている。

スターバックスのキャンペーンをめぐっては、1987年の事件にも関連したものだという指摘も出ている。

タンブラーの販促資料では、韓国語で「テーブルにタク!」という表現が使われていた。「タク」は、物がテーブルにたたきつけられる音に似た言葉だが、1987年1月に警察の拘束下で死亡した学生活動家に関する、警察の説明でも使われた表現で、当時しきりに批判された。

このキャンペーンをめぐっては、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領も「非人道的な振る舞いに憤慨している」と非難した。

地方選挙期間中に発覚したこのスキャンダルは、韓国の二大政党間の大きな争点にもなった。

李政権下の内務省が政府レベルでのスターバックス不買運動を発表する一方、野党指導者らは演説中にスターバックスのカップを掲げ、政府の行き過ぎた行為を非難することで応じた。

それ以来、スターバックスのカップは、李政権への反対の象徴として右派評論家たちに受け入れられてきた。また、右派の集会やライブ配信にも登場している。