【検証】トランプ米政権、一部ワクチンの推奨撤回 発言に多くの誤情報

ドナルド・トランプ米大統領は、小児ワクチン接種方法の変更を目的とした、自身が署名した大統領令を掲げている。

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ジェイク・ホートン記者、ブランドン・ドレノン記者

ドナルド・トランプ米大統領は10日、子どもへのワクチン接種推奨数を制限する大統領令に署名した。その際、ワクチンに関して誤解を招く主張や事実と異なる主張を繰り返した。

米疾病対策センター(CDC)はこれまで、子どもに対し、18種類の疾病に対するワクチン接種を推奨していたが、今回の新しい大統領令により、その数は11種類に減った。大統領令はまた、おたふく風邪、麻疹(はしか)、風疹(まとめてMMR)について、混合ワクチンでの接種から個別の接種に切り替えるよう助言している。

ワクチンに関するトランプ氏の発言について検証する。

アメリカの「幼い子ども」は72回もワクチンを受けているのか

トランプ大統領は命令に署名する直前、「多くの場合、私たちは美しく、健康で、愛らしく、繊細な小さな子供たちに72回ものワクチン接種を要求していた」と述べた。

大統領令の発布後、ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、「72回の注射」と題された、注射針に囲まれた赤ちゃんを描いた画像を共有した。

しかし、どちらの主張も誤解を招くものだ。

まず、米連邦政府の指針は就学時のワクチン接種要件に影響を与えるものの、実際の規則は州レベルで定められているため、予定されているワクチン接種の正確な回数は各地で異なる。

そして第2に、ホワイトハウスが挙げた「72回」という数字は、18歳になるまでに接種する可能性のあるワクチンすべての回数を数えたもので、乳幼児や「幼い子ども」に限った回数ではない。

さらに「72回」という合計には、毎年接種するインフルエンザ・ワクチンや、新型コロナウイルスのワクチンの接種回数も含まれている。

ワクチン1回あたりの投与量

トランプ氏はMMRワクチンについて話す際、「ワクチンは、小さな子どもの体に炭酸飲料のボトル1本分を注ぎ込むようなものだ」と主張した。

しかし、米食品医薬品局(FDA)によると、MMRワクチンの1回分の投与量は0.5ミリリットルで、小さじ1杯のほんの一部に相当する。

米カイザー・ファミリー財団(KFF)のグローバル・公衆衛生政策プログラムでアソシエイト・ディレクターを務めるジョシュ・ミショード氏は、推奨されているすべてのワクチン接種を合わせても「炭酸飲料のボトル1本分には全く足りない」量であって、トランプ氏が主張したよりも「はるかに、はるかに少ない」と述べた。

MMRワクチンは「非常に致死性が高い」可能性があるのか

トランプ氏はMMRワクチンを3回に分けて接種することを提唱した際、「一緒に接種すると、非常に致死的な可能性がある」と述べた。

CDCによると、MMRワクチンを接種した人のほとんどは、深刻な副反応を起こさない。また、MMRワクチンの接種は、予防対象である麻疹、おたふく風邪、風疹といった病気にかかるよりもはるかに安全だと指摘している。

ワクチン接種による最も深刻なリスクとしては、発熱性けいれんや重篤なアレルギー反応が挙げられるが、CDCはこれは「極めてまれ」な副反応だとしている。

研究では、MMRワクチンを接種した子どもの3000~4000人に1人が熱性けいれんを起こすリスクがあることが示されている。

ワクチンと自閉症の関連性を示す証拠はあるのか

トランプ氏は自閉症について話す際には、「数年前と比べてはるかに多くなっており、状況は悪化の一途をたどっている。そして、ワクチン接種もますます増えている」と述べた。「20年前は1万人に1人だった」とも述べた。

自閉症と診断される割合は過去20年間で増加したが、トランプ氏が挙げた数字ほどには伸びていない。

CDCは2006年、アメリカの人口における自閉症の罹患(りかん)率を110人に1人と推定した。2008年には88人に1人となった。

ほとんどの専門家は、自閉症の罹患率の上昇について、主に診断方法の変化、自閉症に対する認識の高まり、そして検査を受ける人の増加に起因すると述べている。

また、自閉症の発症率は上昇傾向にあるものの、複数の研究で、ワクチンとの関連は認められていないことが示されている。

これには、世界保健機関(WHO)が2025年12月に実施した包括的な研究も含まれている。この研究では、複数の国にわたる数十件の研究と数百万人の子どもたちのデータを分析し、「ワクチン接種と自閉症の間には因果関係はない」という結論に至った。

専門家らによると、出生から5歳までのワクチン接種期間が、自閉症の診断が多い時期と重なるため、ワクチンと自閉症を誤って関連づける傾向があるという。しかし、それは相関関係であって因果関係ではないと、専門家らは述べている。

WHOは報告書の中で、まだ十分に理解されていない理論上のリスクを強調する研究は、「特に広範な誤情報、偽情報、ワクチン接種へのためらいといった状況下で、世論の論争を長引かせている」と述べている。