BBC、従業員の約1割を削減へ 1000億円規模の経費節減で

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ポール・グリン、イアン・ヤングス 文化担当記者
BBCは15日、「深刻な財政的圧力」に対処するため、全従業員の約1割に当たる1800~2000人規模の人員削減を実施すると発表した。
BBCは今後2年間で5億ポンド(約1080億円)の経費節減を迫られている。ロドリ・タルファン・デイヴィス暫定会長は、BBCラジオ4の番組「メディア・ショー」で、一部のチャンネルやサービスをそっくり廃止する可能性もあると話した。
「私たちは、あらゆることを検討する必要がある。5億ポンドという規模では、いくつかの重大かつ困難な選択は避けられない。それでも、この問題に慎重に取り組んでいく必要がある」と、デイヴィス暫定会長は述べた。
さらに、BBCの各サービスが今後、どのような影響を受けるのかについては、今年中に詳細を明らかにすると話した。
「視聴者のために、今後3~4カ月間で当面の課題となるのは、ラジオ、テレビ、オンラインのすべてにおいて、BBCにとって不可欠だと私たちが承知しているさまざまなサービスを損なうことなく、変化をどうやって実施していくか、検討することだ」とも、暫定会長は述べた。
人員削減については、従業員にとって「本当に厳しい知らせ」になるはずだと認めた。
英放送業界の労働組合BECTUのフィリパ・チャイルズ代表は、「これほどの規模の削減」は「従業員とBBC全体にとって壊滅的な打撃となる」と警告した。
BBCの現在の従業員数は、フルタイム換算で約2万1500人。
デイヴィス暫定会長は15日の従業員宛てのメールで、「ご存知の通り、BBCは深刻な財政的圧力に直面しており、迅速に対応する必要がある」と説明。
「端的に言えば、経費と収入の差が拡大している。これにはいくつかの要因がある。制作費の膨張は非常に大きいままだ。受信料や商業収入は圧迫されている。世界経済は依然として不安定だ」とした。
また、採用や出張、経営コンサルタント委託、会議や表彰式など各種イベントへの参加にかかる支出についても、より厳格な管理体制を導入するとした。
「難しい決断」
BBCは現在、2027年末のロイヤル・チャーター(特許状、王立憲章)の更新に先立ち、組織や受信料の今後について政府と協議している。
リサ・ナンディ文化相は、今回の人員削減が発表される少し前にBBCラジオ4の番組「ワールド・アット・ワン」に出演し、BBCは「あらゆる機関と同じように」、「難しい決断」をしなくてはらないと述べた。
「BBCの財政基盤を維持するのに役立つ、商業的な選択肢やそのほかの収入源の模索を含め、BBCの上層部がこの問題を非常に重く受け止めていることは、私も承知している」とも、ナンディ氏は述べた。
BBCの総収入の大部分は視聴契約料(受信料)が占めている。ただ近年は、契約件数は減少傾向にある。
BBCではティム・デイヴィー前会長の後任として、米テクノロジー大手グーグルの元幹部マット・ブリティン氏が5月18日に新会長に就任する。そうした中で、今回の人員削減が発表された。
「じわじわと切り刻まれ死んでいく」
労働組合BECTUのチャイルズ代表は、BBCの従業員が「すでに繰り返された人員削減を経て、すでに大きなプレッシャーにさらされている」と指摘。いっそうの削減は「公共への使命を果たす能力に、必然的に悪影響を及ぼす」と述べた。
チャイルズ氏はまた、「フェイクニュースが横行し、業界が少数の多国籍企業の手中にますます集約されつつある今、イギリスはこれまで以上に、自信に満ち、野心的で、持続可能な資金基盤をもつBBCを必要としている」とした。
そして、「政府は(ロイヤル)チャーターの更新を通じて、BBCの資金調達をより確実で長期的な軌道に乗せ、私たちの国の公共放送がじわじわと切り刻まれて死んでいくのを、防がなくてはならない」と述べた。
全英ジャーナリスト組合(NUJ)のローラ・デイヴィソン事務局長は、「過酷な人員削減をさらに重ねるのは、間違っているし有害だ。BBCの従業員に不安と苦痛をもたらすことになる」と批判。
「BBCの使命は、情報を提供し、教育し、楽しませる、質の高いジャーナリズムと番組を届けることだ。(発表されたような)削減は、この使命を果たす能力を著しく損なう」と、デイヴィソン氏は述べた。
「(BBCでは)組織の中核部分にまで影響を及ぼすほど、長年にわたり実質的な予算削減と容赦ない経費削減がおこなれてきた。今回の追加削減は、それに続く措置だ。こんなことが続いてはならない。有能で経験豊富な従業員なしに、BBCが質の高いジャーナリズムを提供することはできない」とも、デイヴィソン氏は述べた。











